保健指導で役立つ 子どもの近視Q&A
病態(4問)
眼軸は何歳まで伸びますか
眼軸長の伸長は一般に16~18歳頃までに安定すると考えられていますが、18歳時点で安定しているのは約77%にとどまり、個人差が大きいことが報告されています。
成長期を過ぎても近視が進行してしまう事があるのはどういうメカニズムですか
成長期を過ぎても近視が進行する明確なメカニズムはまだ解明されていませんが、成人後も眼軸が伸長する例が報告されています。
一度近視になると戻らないと聞きますが、見え方が良くなることはないのですか
学童期の近視の多くは眼軸長が伸びることによる軸性近視であり、一度伸長した眼軸長は元に戻らないため、根本的に裸眼での見え方が戻ることはありません。
視力の左右差がある児童生徒にはどのような原因が考えられますか。学校生活や日常生活で気を付ける事はありますか
視力の左右差は、屈折異常や弱視、斜視などが原因のことがあります。また、原因は不明なことが多いものの、近視が強い眼ほど進行しやすい傾向があるため、姿勢や視線に偏りが生じないよう配慮することが重要です。
予防/外遊び(9問)
小さな画面ではなく大きな画面で見ることで近視の進行予防になりますか
画面が大きいこと自体に、近視進行を予防するという直接的なエビデンスはありません。ただし、大きな画面は視距離を確保しやすく近業負荷が軽減されるため、適切な視距離が保たれていれば、近視は進行しにくいと考えられます。
近見作業時の目の休息時間はどの基準を守るとよいですか
30 ㎝以上の距離を保ち、少なくとも30分に1回は、30秒以上画面から目を離し、遠くを見て目を休めることが大切です。
前髪が目にかかると、視力に影響はありますか
前髪が目にかかること自体で、近視が進んだり視力が恒久的に低下したりするというエビデンスはありませんが、前髪で視界が遮られると見えにくくなるため学校生活に影響を及ぼす可能性があります。
近視の予防として、「遠くを見る」とのことですが、具体的にどのくらい遠くを見ればよいですか
近視予防として「遠くを見る」場合、目安は6m以上です。6m以上では調節(ピント合わせ)がほぼ解除され、目をしっかり休ませることができます。
教室の明るさは近視の進行に影響を与えますか。LED電球と蛍光灯どちらが目に優しい等ありますか
光源の種類で優劣があるというエビデンスはありません。光源の種類ではなく、十分で均一な明るさ(照度)を確保することであり、条件を満たしていればLEDでも蛍光灯でも問題ないと考えます。
外遊びは、学校が終わる時間(夕方の時間帯)でも近視予防に有効と言えますか
近視予防には1000~3000ルクス程度の照度が推奨されます。季節にもよりますが夕方では1000ルクス未満の照度である場合もあり、その場合はあまり有効とは言えません。
分割した2時間の外遊びでも近視予防の効果はありますか
たとえ分割しても概ね2時間の外遊びは近視予防の効果があると言われます。
毎日ではなく土日等にまとまった時間を屋外で過ごすことで、(近視予防を目的とした)毎日2時間の外遊び時間をカバーできますか?
文部科学省の近視実態調査では、屋外活動が平日90分以上、土日120分以上の児童は、30分未満の児童に比べて視力低下が起こりにくい可能性が示唆されています 。週末にまとめるだけでなく、平日も含め日頃から屋外活動を意識することが望まれます。
外遊びができない時に、室内で過ごす時に教室の窓際などで太陽光を浴びることも効果がありますか
窓際の照度は、時間帯や天気、窓の向きで大きく変わります。窓際であっても室内では、近視抑制に必要とされる十分な光量が得られるというエビデンスは限定的であり、現状では屋外時間の代償とはならないとされています。
視力矯正/サングラス/ブルーライト/近視進行抑制(7問)
眼鏡を嫌がりCLを使用したがる児童生徒も多いのですが、CLは何歳から使用してよいですか
コンタクトレンズに明確な年齢制限はなく、近年は近視治療目的で低年齢から使用されることもあります。ただし、児童生徒自身が正しく装用・管理できる年齢であることが重要です。
カラーコンタクトレンズをする児童生徒が増えているのですが、リスクについてどのような声掛けをするとよいですか
カラーコンタクトレンズは普通の透明なコンタクトレンズよりも目のトラブルが起こりやすいことが知られています。度数やサイズが合っていなかったり、不適切な使用により、角膜(くろめ)の酸素不足や、細菌・微生物感染による角膜炎などの合併症が起こることがあります。重篤な場合には、視力障害が残るリスクがあることを伝えることが重要です。インターネットや友人から譲り受けたレンズの使用は特に危険です。使用する場合は、必ず眼科での検査と定期的なチェックを受けるよう指導してください。
紫外線予防などで児童生徒がサングラスを使用してもよいですか
近視予防に必要な太陽光の照度はサングラス越しでも十分に確保されるため、羞明が強い場合にはサングラスを使用しても問題ありません。
近視進行抑制治療をしている児童生徒に対し学校でできる支援はありますか
近視進行抑制治療を受けている児童生徒については、眼脂・充血・見えにくそうな様子など眼の症状に気づいた場合、速やかに保護者や医療機関と連携するといった支援が重要です。
小児にはブルーライトカットのメガネが推奨されていないと聞きますが、小児とは何歳~何歳ですか
小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はありません。一般に小児は15歳ぐらいまでをさします。
小児にブルーライトカットが必要ない理由を教えてください
小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見 https://www.gankaikai.or.jp/info/20210414_bluelight.pdfをご参照ください。
眼鏡をかける必要がある児童生徒が眼鏡をかけていない場合や、眼鏡を作っても、眼鏡を付けたり外したりしている児童生徒がいます。近視進行への影響はありますか
軽度の近視の場合、ふだんの生活に困らなければ授業中など遠方をきちんと見るときは眼鏡をかけると良いでしょう。この場合、眼鏡のかけ外しによって近視が進行することはありません。
視力検査/保護者説明(10問)
ランドルト環や絵カードを用いた視力測定が難しい(支援学校に通う)児童生徒への検査の方法や、見え具合の目安にできることはありますか
ランドルト環などが難しい場合でも、近づいて見る、目を細めるなどの様子は見えづらさのサインですので、眼科受診をお勧めします。また左右差なく注視・追視ができるか、片眼を隠しても嫌がらないかは、見え具合を判断する目安になりますので、試してみてください。
視力検査を学校で年1回行っていますが、年2回もしくは3回に増やすことは近視の進行予防に有効ですか
視力検査の回数を増やすことは近視の早期発見には有効な可能性がありますが、進行予防そのものにつながる明確なエビデンスはありません。現状では、1回であっても、B判定以下となった児童生徒が確実に眼科を受診する体制を整えることが最も重要と考えます。
春の視力検査後に眼科受診し、近視の経過観察と言われた児童生徒に対し、同年内の視力検査でB判定以下だった場合も受診勧奨すべきですか
近視は1年以内に進行するケースもあり、場合によっては眼鏡が必要になることがあります。そのため、同年内であっても再度眼科受診を勧めることが基本です。なお、日本学校保健会の「健康診断マニュアル」には「左右どちらかか片方でも1.0未満であるものに受診を勧める」「視力Bの者は、再検査を行い、再度B以下であれば眼科で受診するように勧める(年少・年中児は除く)」と記載されています。
学校の視力検査では、眼鏡等で視力矯正をしている児童生徒の裸眼視力も測定することが望ましいですか
学校保健安全法施行規則では「眼鏡を使用している者の裸眼視力の検査はこれを除くことができる」とされています。
近視で眼鏡矯正しており、矯正視力がAの場合でも受診勧奨は行うべきですか
特に症状がなければ、視力検査結果としては受診勧奨は必要ありません。
(矯正・裸眼)視力B判定の生徒にも受診勧奨は必要ですか
必要です。裸眼視力の場合、早期の近視などが考えられますし、矯正視力の場合、適切な矯正がされていない可能性があるからです。
コロナ禍から感染症対策として遮眼子を使用せず視力検査を実施しているのですが、適切に遮眼するためにはどのような方法がよいですか。(児童生徒自身の手、遮眼紙、ハンカチ等色々検討するのですが、どの方法が適切か教えてください)
眼球を圧迫せず確実に片眼を覆う必要があります。自身の手では隙間があくこともありますので、ハンカチは適切な方法の一つといえます。
(視力検査時)右目の検査の際、左目は開けたままか、つむるか、どちらが正しいでしょうか?
どちらでも良いですが、左目をぎゅっと強くつむらない方が良いです。
眼鏡作成や度数調整を眼科で行わず、眼鏡店で対応している、または視力検査でCやD判定が出ても保護者の意向で眼科受診や眼鏡処方を希望しない児童生徒がいます。このような場合、保護者にどのように説明・対応するのがよいでしょうか?
子どもの目はまだ成長途中なので、きちんと合った眼鏡が大切です。眼科では、見え方だけでなく、目に異常がないかも確認します。特に低学年では調節力が強いため、正確な眼鏡作成には眼科で調節を抑える点眼薬を用いた精密検査が必要です。眼鏡を作る前に一度受診をお勧めします。
視力の左右差があっても、両眼で見ると見えてしまいなかなか眼科へいかない児童生徒がいます。そのまま過ごさせてもよいですか
そのまま過ごさせるのは望ましくありません。左右に視力差があっても両眼で見ると見えてしまうため気づきにくいですが、左右差が大きい場合は眼鏡装用など適切な治療をしないと立体視の低下や眼精疲労、頭痛、低学年では不同視弱視などを生じることがあるため、眼科受診を勧めてください。
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