近視について 監修:いくの眼科 院長 生野 恭司 先生

子どもたちの目を守るために、近視について理解することは重要です。
ここでは、近視とはどのような状態なのか、近視の原因は何なのか、近視を診断するためにどのような検査を行うのかなど、近視について知っていただきたいことを解説します。

近視とは?

目でものが見えるしくみ

目はカメラのような構造をしています。

水晶体はものを見るためのピント(焦点)合わせを行っています。

目に入ってきた光が網膜上でピントが合い、その像が視神経を通って脳へ伝わることで、ものをはっきりと見ることができます。




なお、近くを見るときは水晶体が前後方向にふくらんで厚くなり、網膜上でピントが合うようになっています。

近視の目はどうなっているの?

近視の目は、何らかの原因によって網膜の手前でピントが合ってしまっており、遠くのものがぼやけて見えます。その原因の一つに、眼球の前後方向の長さが伸びていることが挙げられます。近視の多くはこの「軸性近視(じくせいきんし)」と呼ばれるものです。

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目のしくみは、精密機械のようなもの。


見え方で気になることがあれば
眼科受診をおすすめします。

近視になる原因は?

「両親とも近視じゃないから大丈夫!」なんて思っていませんか?

近視の発症には、遺伝的要因と環境要因の両方が影響していると考えられており、両親が近視でなくても子どもが近視になる可能性は十分にあります。

●遺伝的要因

父親と母親のどちらかが近視の場合、子どもが近視になる可能性は比較的高く、両親が近視の場合はさらに近視になりやすいといわれています。

●環境要因

環境要因としては、屋外活動の減少や近くを見る作業(近業)の増加があげられます。お子さんがあまり外で遊ばない、
ゲーム機やタブレット
などを長時間使用して
いる場合は注意が必要
です。

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当てはまるものはありませんか?
環境要因も注意が必要です。

どんな検査を行うの?

近視を診断するための検査として、屈折検査、視力検査、眼軸長測定などがあります。

子どもの近視は進行しやすいため、定期的に検査を行う必要があります。

検査の種類

●屈折検査

屈折検査は、近視・遠視・乱視の程度を調べるために行います。子どもは眼のピント合わせの力(調節力)が強いため、検査前に調節の影響を取り除く薬(調節麻痺薬)を点眼することもあります。

●視力検査

視力検査では、検査用のメガネや視力表を用いて、「裸眼視力」*1と「矯正視力」*2を測定します。

検査用のメガネで矯正しないありのままの視力のこと

検査用のメガネで矯正して得られる視力のこと

●眼軸長(眼球の前後方向の長さ)測定

眼軸長測定は、眼球の前後方向の長さを測定します。測定結果は近視の程度を示す重要な指標になります。通常の視力検査では眼球の前後方向の長さは分からないため、眼軸長測定できちんと測ることが重要です。

●近視の程度の分類

近視の程度に関しては、成人の場合、屈折度数(単位はD〔ジオプトリー〕)によって「弱度近視」、「中等度近視」、「強度近視」に分けられています。

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詳しい検査は眼科で受けられます。


まずは、今の状態を正確に
知ることからはじめましょう。