2025年8月25日

FP受容体及びEP3受容体に作用する二環式プロスタグランジン誘導体「セタネオ®点眼液0.002%」緑内障・高眼圧症治療剤として国内における製造販売承認を取得

参天製薬株式会社(本社:大阪市、以下Santen)は、緑内障及び高眼圧治療を目的とした「セタネオ®点眼液0.002%」(一般名:セペタプロスト、開発コード:STN1012600、以下本剤)について、本日2025年8月25日付で国内における製造販売承認を取得しましたのでお知らせします。

本剤は、小野薬品工業株式会社で創製されたセペタプロストを0.002%含有しています。セペタプロストはプロドラッグであり、点眼後は主に角膜中で速やかに加水分解され、FP受容体及びEP3受容体に対して結合、刺激することで房水流出を促進し、眼圧下降作用を示すと考えられています。

本剤の有効性については、国内で行われた、第III相検証試験において、緑内障治療の第一選択薬の一つである0.005%ラタノプロスト点眼液(1日1回点眼)に対する本剤の1日1回点眼における眼圧下降効果の非劣性が検証されました。また、国内で実施された第III相長期投与試験において、本剤は、1年に渡り1日1回点眼での眼圧コントロールが示されました。安全性においては、重大な副作用として虹彩色素沈着0.3%が認められています。発現率5%以上の主な副作用は、結膜充血、睫毛の異常、眼瞼部多毛が認められています。

緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経が障害されて視野欠損が進行し、適切に治療されなければ失明に至る病気であり、今なお日本における眼疾患による視覚障害(視力低下や失明)の原因の第一位となっています1。緑内障の視神経障害および視野障害は、基本的には進行性かつ非可逆的であるため、早期発見・早期治療が極めて重要であり、眼圧を下げることが緑内障の進行を抑制する有効な治療法です。

日本緑内障学会が策定した「緑内障診療ガイドライン(第5版)」 では、緑内障の薬物療法において、眼圧下降点眼薬の単剤(単薬)療法から開始し、有効性が確認されない場合には他剤に変更し、有効性が十分でない場合には多剤併用(配合点眼薬を含む)を行うことと示されていますが2、薬剤選択に際しては治療抵抗性患者や投与禁忌患者の存在、副作用の発現などに留意する必要があります。また、多剤併用療法においては、点眼回数の増加に伴う副作用の増加、アドヒアランス*やQuality of Life(生活の質:QOL)の低下につながる可能性にも配慮が必要です。これらのことから、新たな作用機序による強力な眼圧下降作用を有する眼圧下降薬の登場が望まれています。

Santenのチーフ メディカル オフィサーであるピーター・サルスティグは、次のように述べています。「緑内障治療においては、最も優れた眼圧下降効果と点眼回数、副作用の面で良好な認容性により、プロスタノイド受容体関連薬が第一選択薬として最も使用されています2。しかしながら、既存のプロスタノイド受容体関連薬では、十分な効果が得られないケースがあります。また、眼圧は常に一定ではなく、一日を通して変動するため、日中と夜間を通じ、眼圧を管理することが緑内障の進行抑制において重要になります。『セタネオ®点眼液0.002%』の承認により、2つの作用がある眼圧下降点眼薬の選択肢をより多くの緑内障患者さんに提供できることを大変嬉しく思います」。

Santenは、眼科に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、より多くの治療選択肢を医療現場に提供することで、日本の緑内障患者さんのQOL向上に寄与できることを期待しています。

緑内障について
緑内障は、世界の失明原因の主な原因となっており、2013年の推定患者数は6,430万人で、2040年には1億1180万人に増加すると予測されています3。40歳以上の日本人における緑内障の有病率は5.0%(原発開放隅角緑内障3.9%、原発閉塞隅角緑内障 0.6%、続発緑内障 0.5%)、高眼圧症は0.8%でした4, 5。緑内障の有病率は、年齢とともに高くなることが知られており、日本の高齢化に伴って患者の数はさらに増加することが予想されるため、早期発見・早期治療がますます重要と考えられています。

* 患者さんが積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること

<参考文献>

  1. Matoba R, et al. Jpn J Ophthalmol. 2023;67(3):346–352.
  2. 緑内障診療ガイドライン(第5版). 日本眼科学会雑誌. 2022;126:(2): 85-177
  3. Tham YC, et al. Ophthalmology. 2014;121:2081-90.
  4. Iwase A, et al; Ophthalmology. 2004;111:1641-8.
  5. Yamamoto T, et al; Ophthalmology. 2005;112:1661-9.

Santenについて
Santenは、眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、世界中の患者さんや生活者、医療関係者の皆さまへの価値ある製品やサービスの提供を通じ、人々の「Happiness with Vision」の実現に貢献することを目指しています。創業以来、「天機に参与する」という基本理念の下、130年以上にわたり人々の目の健康維持・増進を追求してきました。現在、眼科領域における医薬品の研究開発、製造、販売・マーケティング活動をグローバルに展開し、世界60以上の国・地域で約5,000万人の人々の目の健康をサポートしています。私たちのミッションは、眼科領域における専門性と患者さん視点から創出される製品やサービスを通じて、目の病気の予防や診断、治療において今まで提供されていない重要な価値を患者さんや社会に提供し続けることです。一人でも多くの患者さんが幸せで豊かな人生を過ごすことができる未来を創り出すため、世界中の人々が「見る」を通じた幸せを実感できる社会の実現に向けて全力を尽くしています。
詳細については、当社ホームページhttps://www.santen.com/jaをご参照ください。

-本件に関するお問い合わせ先-
参天製薬株式会社 コーポレート コミュニケーション
Email: communication@santen.com