1993年Santen入社。能登工場で点眼容器製造ラインを長く担当し、2014年に滋賀工場へ赴任。2015年より滋賀工場でチームマネジャーを務める。2016年に能登工場に帰任し、2020年より現職。休日は落ち葉拾いで汗を流し、午後は50歳から急にはまったウイスキーを飲みながら映画鑑賞をするのが最近のルーティーン。
Santenは1890年の創業当初から変わらない基本理念を守り、患者さんと患者さんを愛する人たちへの貢献を第一に、事業を展開してきました。その思いはそれぞれの職場でどのように受け継がれ、仕事に生かされているのでしょうか。Santenで長年経験を積んできた2人のリーダーが体験を語ります。
定免 牧人(じょうめん まきと)
生産本部 能登工場 工場長
1993年Santen入社。能登工場で点眼容器製造ラインを長く担当し、2014年に滋賀工場へ赴任。2015年より滋賀工場でチームマネジャーを務める。2016年に能登工場に帰任し、2020年より現職。休日は落ち葉拾いで汗を流し、午後は50歳から急にはまったウイスキーを飲みながら映画鑑賞をするのが最近のルーティーン。
山田 和人(やまだ かずひと)
製品開発本部 製品研究統括部 統括部長
1997年Santen入社。入社時より奈良研究開発センターで研究開発に携わり、Santen Oy(フィンランド)、滋賀工場への勤務も経験。2020年より現職。趣味はサッカー観戦、ゴルフ、温泉旅行。休日はスポーツや旅を楽しみながらリフレッシュし、新たな発想や挑戦への活力を養っている。
※プロフィールは掲載時点の情報です。
定免:入社当初から職場に根付いているのは、「工場の使命は製品の安定供給であり、欠品は許されない」という姿勢です。製品供給を止めることがないよう、何か予想外の事態が起こったときには工場全体で協力体制を組んで対応するのが当たり前でした。現在も、従業員の安全と品質の確保を大前提にしながら、できる限りの安定供給を目指しています。
山田:研究開発ではどの分野においても、「新しいことにチャレンジする」という姿勢が大切にされていると感じます。薬の有効性と安全性、品質は当然ですが、さらに点眼薬のさし心地や点眼頻度など、患者さんにとっての快適さや利便性も考えた製品開発・改良が、入社当初から当然のように行われていました。
定免:まず、安定供給は生産にかかわる部門全体の使命として、明確な方針が打ち出されています。さらに、工場全体の目標、そこで働く一人ひとりの活動目標の1つとしてもしっかり組み込まれ、日々の業務の中で意識されています。
山田:新しいことにチャレンジする姿勢が研究開発部門に根付いているのは、営業部門やマーケティング部門との連携があってこそだと感じています。医師や医療従事者の方々と日々接しているMR(医薬情報担当者)やマーケティング担当者は、常に患者さんの未充足ニーズの把握に努めています。研究開発部門でもニーズの把握に努めていますが、MRやマーケティング担当者がキャッチしたニーズも加えてどのような製品開発ができるか考え続けます。その中で、Santen社内にはない技術を外部から導入するなど、未経験の分野にチャレンジする必要が出てくるのです。
山田:はい。製品を世に出した後も患者さんの声を聞き、たとえば1日に必要な点眼回数を減らすなど改良を積み重ねることは、Santenの大きな強みだと思います。研究開発(R&D)部門のトップが変わってもこの姿勢は変わらず、組織の文化として定着していることを感じます。
定免:患者さんの声を反映させた製品改良については、容器の開発も同様です。初の自社開発となった点眼容器「ディンプルボトル」は、薬液が思った方向に落ちない、1滴の量が安定しないといった既存の容器の課題を解決するために開発されました。妥協のない課題解決の追求によって1滴量の安定を達成し、2002年の開発当初から今日まで、その性能は変わることなく受け継がれています。
山田:未充足ニーズを抱える患者さんの数、コストに対する改良の効果など、研究開発部門だけでなく営業部門やマーケティング部門などが持つデータを突き合わせて検討すると優先順位は明確になるため、葛藤はあまり生じません。「製品をいかに多くの患者さんに使っていただけるかが重要」という、部門を越えた共通認識があるのです。判断材料が足りなければ、開発プロジェクトに直接かかわっていない社員に評価を求めたり、患者さんへのヒアリングを行ったりすることもあります。
定免:そうですね、充填9ライン、包装11ラインのすべてが何らかのダメージを受けている可能性があり、生産の再開まである程度の時間を要することは明白でした。そのため、まずは完成品の在庫をいち早く出荷できるように倉庫の復旧を急ぎ、次に、容器に充填済みの製品を包装して完成品にできるよう、包装ラインの復旧を優先しました。それと並行し、製品供給の優先度や作業可能な人員の体制等について、能登工場の各部門はもちろんのこと、本社や滋賀工場とも協議しながら、生産ライン復旧に向けた最短のスケジュールを組んでいきました。
定免:はい。自宅が全壊、半壊した方もいて、当然全員が出社できる状況ではありません。そんな状況の中、本当に多くの方が出社し、復旧に取り組んでくれました。実は能登工場で倉庫よりも前に最優先で復旧させた施設は、従業員に温かい食事を提供する「食堂」だったんです。
滋賀工場からは、設備の点検など工場復旧に向けた人的支援のみならず、従業員向けの生活支援物資として大量のポリタンク提供がありました。そのおかげで、自宅が断水していた能登工場の従業員が、工場から水を持ち帰れるようになりました。
山田:いざというときに、拠点を越えて当たり前に助け合えるという点も、Santenの強みの1つですね。今後は、災害時などに製品供給を止めないようにするためにも、長期的な製品需要に応えていくためにも、1つの製品を複数の拠点で生産できる体制づくりが必要です。すでに能登工場と滋賀工場で連携し、新薬開発においても両方の工場から製品供給する取り組みも進めています。
点眼容器「ディンプルボトル」は2008年にグッドデザイン賞を受賞、能登半島地震からの迅速な復興の取り組みは2024年度のSantenグループ内表彰で審査員特別賞を受賞した
定免:能登工場では、生産の現場で働く一人ひとりが「自ら品質について考え行動する」文化を醸成する取り組みを進めています。患者さんの望む製品が当たり前に供給される状態を守るためには、生産の現場で働く従業員が「自分たちの作る製品は、患者さんのためになっている」という誇りを持てることが大切です。しかし、従業員が実際に患者さんの声を聞ける機会はほとんどないため、現在はポスターやスローガンを通じて患者さんをイメージしてもらえるよう工夫しています。将来的には、従業員が工場の外に出て直接患者さんの声を聞けるような機会も設けていきたいですね。
能登工場の構内に掲示されたポスター。従業員用PCのログイン画面にも同じデザインが使われている
山田:私は、研究開発において「新しいことへのチャレンジ」を支えているのは、「共に成し遂げる」というSantenの価値観にもあらわれている、助け合いの文化だと考えています。
工場で課題があれば研究開発がサポートし、研究開発が新製品をテストするときには工場が協力する。課題があれば色々な部門と議論してどうやって解決するか考え、最後までやりきる。こういった助け合いを次の世代に引き継ぐために、奈良研究開発センターでは能登工場と滋賀工場から品質管理担当者の出向を受け入れています。
他拠点で働いた経験が、それぞれの現場の業務内容理解や人脈構築につながり、元の職場に戻ってからは拠点間を結ぶ「ハブ」のような存在になるのです。いずれは生産の担当者にも人材交流を広げていけるといいですね。
定免:能登工場と滋賀工場の間でも、ノウハウの移転などに向けた人事異動があります。私自身も滋賀工場で2年間勤務しましたが、製品供給や生産性向上に取り組む姿勢は能登と同じ、もしくは能登にはない発想など、多くの気づきを得ることができました。自分たちが大切にしているものを、押し付けではない形で継承していくには、業務を通じた体験から実感できることが大切だと思います。
山田:今まで解決できなかった患者さんの課題を解決し、新しい治療のオプションを提示できるようにすることで、より多くの患者さんのニーズに応えていきたいです。これまでやってきたことの延長線上で考えていては、同じような解決策しか生まれません。既定路線を超えて考え続けることの大切さを次の世代に伝え、これまでにない製品の開発を後押ししていきます。
定免: 私はSantenが私たちのビジョンとして掲げる「Happiness with Vision」にとても共感しています。この仕事のすばらしさを従業員が実感できる環境づくりに取り組み、製品の品質と安定供給を守り続けることで、今後も「見る」を通じて世界の人々を幸せにしていきたいです。