リスクマネジメント

Santenは、予測不可能な不確実性を含む様々なリスクに対して、情報管理・モニタリング体制を構築し、発生を予防し、適確に対処します。

リスク管理体制

当社では、従来より、リスク管理に係る規程に基づき、事業活動遂行上想定される主要な損失の危険に適確に対処するため、各地域、部門ごとにリスクの抽出、評価、モニタリングを行い、平時から損失のリスクを回避、最小化することに努めてきましたが、リスクマネジメントの高度化に向け、2024年度より三線体制に基づき各リスクオーナーへのインタビューを通じて、リスクシナリオの確認および「固有リスク」の評価を実施し、「内部統制」の評価を行うことで毎年、「残余リスク」を算出することにしています。そして、「残余リスク」が高いものを全社重要リスクと特定し、リスク管理委員会で審議することにより、効果的な全社的リスクマネジメント体制の整備を行っています。
グローバルに事業が拡大する中、高い水準で各種規制を遵守することが求められています。また、製品の安定供給や品質管理、ITセキュリティの確保、コンプライアンス遵守等に対して適切な対応を行うとともに、パンデミック、自然災害、紛争等に対するリスクマネジメントが求められています。
特に経営に影響を及ぼす可能性がある多様なリスクに対応するため、危機管理担当役員の下、予防的および発見的コントロールの効いたリスク管理活動の強化を継続的に図っていきます。
また、内部監査室は、その独立した立場において、業務監査を通じて毎年リスク管理状況を検証しています。
重大な危機に発展する可能性のある事象が発生または報告された場合には、Santenの代表取締役社長兼CEOを委員長とする「危機管理委員会」を設置し、対応と事態の収拾に努めるとともに再発防止策を実施します。

リスク管理体制
リスク評価プロセス

主要リスク

1)サプライチェーン

リスクシナリオ
  • パンデミックや自然災害、火災等の発生による、特定の工場(特に能登・滋賀・蘇州)や外部委託先の機能または取引先からの原材料の供給の停止
  • 製品品質に問題が発生
企業価値に与える影響
  • 生産活動の停滞や遅延などによる、安定供給、品質保証および業績や財務状態への影響
対応状況、軽減策
  • 製品の品質確保および安定供給を確実なものとするプロセスおよびシステムなどの仕組みの構築
  • 計画と実行のモニタリングやリスク評価などによる、継続的な実態把握と課題への対応
  • 物流関連の規制が厳しい欧州にも対応した製品の生産供給体制の構築
  • 生産計画を含む在庫管理の可視化、グローバルでの一元管理

2)コンプライアンス

リスクシナリオ
  • 社会規範や法令などに違反する事態の発生
企業価値に与える影響
  • 社会的信用やブランドイメージの低下
  • 株価下落による企業価値の毀損
  • 売上収益の減少や損害賠償の支払い等による業績悪化や事業継続への影響
対応状況、軽減策
  • 「参天企業倫理綱領」および「グローバル・コンプライアンス・ポリシー」を制定し、グローバルでのコンプライアンス推進体制を強化
  • 全従業員へのグローバルでの体系的な教育プログラムの導入・実施
  • 企業倫理綱領周知月間を設定し、CEO・地域トップからのメッセージを発信するなど、コンプライアンス意識の醸成および法令遵守の強化
  • グローバル通報システムとして、「スピークアップ・ポータル」を導入し、グローバルで統一したリスク管理体制を整備

3)ITセキュリティ・ 情報管理関連

リスクシナリオ
  • 事業活動に利用しているITシステムの不備
  • サイバー攻撃やコンピュータウイルスの感染など
  • 個人情報などの社外流出
企業価値に与える影響
  • 事業活動の停止や遅延、信頼失墜などによる業績への影響
対応状況、軽減策
  • 「ISO/IEC27001規格に基づく情報セキュリティマネジメントシステムの実装と維持
  • 情報セキュリティ規程、グローバル個人情報保護規程、文書管理規程等の社内規程の整備
  • セキュリティ研修・訓練を中心とした人的施策、組織対策としてのセキュリティガバナンス強化、ならびに技術的対策の実施(サイバーセキュリティ対策強化の一環としてグローバルフィッシングトレーニングを実施)
  • Santenグループのみならず、サプライチェーンやビジネスパートナーを含めたリスク管理を実施

4)自然災害

リスクシナリオ
  • 大規模地震、津波、台風などの自然災害の発生
企業価値に与える影響
  • 生産活動の停滞・遅延・サプライチェーンの寸断による業績や財政状態への影響
対応状況、軽減策
  • 事業継続計画(BCP)の策定・緊急時の応急対策訓練の実施、安定在庫の確保、製造ラインのバックアップ計画策定、損害保険への加入など、従業員の安全確保および製品の安定供給が継続できる体制の整備を検討

5)地政学リスク

リスクシナリオ
  • 国際情勢の急激な変化や国家間紛争の発生
企業価値に与える影響
  • 関連する地域において、事業活動への影響やサプライチェーンの寸断などによる製品供給の遅滞などの影響
対応状況、軽減策
  • 外部情報の入手や国内および海外での事業への影響を分析し、有事に備えた安全管理体制の整備の検討
  • 製品供給確保のためのバックアップ体制の構築の検討

6)投資に関わるリスク

リスクシナリオ
  • 投資判断を行った時点に想定をしていた水準を超える外部環境の悪化等により、当初想定した効果や利益が実現されない
企業価値に与える影響
  • 投資に伴い計上した有形固定資産や無形資産の減損処理により、Santenグループの業績に影響
対応状況、軽減策
  • 経営戦略との整合性等定性的な観点に加え、収益性の観点から、資本コストを上回るハードルレートを基礎とした社内の評価基準に基づく投資の判断
  • 重要な戦略課題について審議する戦略審議委員会を設置し、中長期戦略および事業・開発ポートフォリオ議論と取締役会に付議される個別議案の有機的な連携を図ると共に、個別案件の全体戦略における位置づけの明確化、論点整理
  • 取締役会で決議した案件を着実に成果につなげるためのモニタリングを定期的且つ継続的に行う仕組みを導入し、コーポレート・ガバナンスの充実・強化

7)主力製品への依存

リスクシナリオ
  • 売上収益の上位を占め連結売上収益に対する比率が高い製品について、製品の欠陥、予期せぬ副作用などの要因により販売中止となる
企業価値に与える影響
  • 売上収益が大幅に減少するなど、業績または財務状態に対する影響

8)ライセンス製品への依存

リスクシナリオ
  • 他社から製造販売権や販売権を供与されている製品について、契約期間満了、契約条件の変更や販売提携の解消等
企業価値に与える影響
  • 売上収益等の業績に対する影響

エマージングリスク

環境変化などにより、近年特にリスクが高まっているものをエマージングリスクとして認識しています。

1)国際紛争

想定するリスクの内容
  • 現在も複数の国で起こっている、あるいはより深刻化すると推定されている国際紛争により、当該地域におけるサプライチェーンへの影響のみならず原材料調達、製品供給等に影響が生じる
インパクト
  • 当該地域における従業員の安全への懸念、サプライチェーンへの影響、制裁による影響、それらに伴う財務的影響
  • 委託製造先を含め生産活動に影響が生じる場合、グローバル全体への製品供給への影響
対応状況、軽減策
  • 発生し得るリスクの認識および有事対応マニュアルの検討
  • 主要な供給品およびサプライヤーが所在する国および地域における地政学的、社会政治的および経済的・政治的紛争に注意を払う

リスクカルチャー

組織全体でリスクカルチャーを醸成するための取り組みを進めています。その一環として、内部統制、コンプライアンスなどに関して、eラーニングによる社内研修を実施しており、その一部の研修実施率などが役員・従業員の報酬評価に含まれています。
またリスク管理に関して、各リスクの評価には関連する全部門が関与し、さらに重要リスクとその対策については、シニアマネジメントがリスクマネジメント委員会で議論することで、リスク意識形成を促進しています。
製品やサービスの開発においては、開発戦略および実行計画の立案段階でそれらの妥当性やリスク分析、リスク軽減策の検討を行うとともに、プロジェクトの成功確率(Provability of Technical Success、PTS)をPTS委員会で検討・判断する仕組みを整えています。また、投資リスクを評価し、事業性を判断するための財務基準を設け、決裁規程にのっとって開発を進めています。開発、投資案件については、フェーズや金額基準に応じて、取締役会でもリスクを議論した上で意思決定しています。