2025年7月30日

緑内障・高眼圧症の治療点眼剤STN1013900(ネタルスジルメシル酸塩)の日本における製造販売承認を申請

 

参天製薬株式会社(本社:大阪市、以下Santen)は、緑内障・高眼圧症の治療を目的としたSTN1013900(一般名:ネタルスジルメシル酸塩)について、本日2025年7月30日付で国内における製造販売承認の申請を行いましたのでお知らせします。

本剤は、ネタルスジルメシル酸塩を有効成分とした点眼剤です。Rhoキナーゼ(ROCK)およびノルエピネフリン・トランスポーターを阻害することにより、眼内の主要な房水排出経路である線維柱帯からの房水流出促進、房水産生の抑制、ならびに上強膜静脈圧を低下させることが確認されています。さらに、活性代謝物であるAR-13503にも、ROCK阻害活性が認められており、これらの薬理作用が本剤の眼圧下降作用に寄与していると考えられます。

本剤の有効性については、国内で行われた第Ⅲ相ラタノプロスト点眼液併用比較試験において本剤の1日1回点眼で0.005%ラタノプロスト点眼液に対する眼圧下降作用の相加効果が検証されました。さらに、国内で行われた第Ⅲ相リパスジル点眼液比較試験において、本剤の1日1回点眼で、0.4%リパスジル点眼液の1日2回点眼に対するリパスジルに対する優越性が検証されました。また、国内で行われた第Ⅲ相長期投与試験では、本剤の長期に渡る眼圧下降作用が示されました。

緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経が障害されて視野欠損が進行し、適切に治療されなければ失明に至る病気であり、今なお日本における眼疾患による視覚障害(視力低下や失明)の原因の第一位となっています1。緑内障の視神経障害および視野障害は、基本的には進行性で非可逆的であるため、早期発見・早期治療が極めて重要であり、眼圧を下げることが緑内障の進行を抑制する有効な治療法です。緑内障の薬物療法において、FP受容体作動薬、EP2受容体作動薬又は交感神経β受容体遮断薬などによる眼圧下降治療は有効であり、目標眼圧を達成するために単剤による治療が不十分な場合は、薬剤変更または異なる作用機序の薬剤を追加する併用治療が行われています2

Santenのチーフ メディカル オフィサーであるピーター・サルスティグは、次のように述べています。「緑内障治療においては、単剤だけでは十分な効果が得られないこともあり、異なる作用機序を有する薬剤への変更や併用、または配合剤の使用が必要になる場合があります。本剤は、臨床試験において単剤及び他剤との併用で眼圧下降作用が示されており、既存治療のアンメットニーズを満たす新たな治療選択肢として緑内障治療に貢献できると考えています。さらに、1日1回の投与であれば、患者さんのアドヒアランス向上にも貢献できることが期待されます。Santenは、緑内障を重点領域と位置づけ、長年にわたり治療薬の開発と治療継続を支援するソリューションの提供に取り組んできました。本剤の開発は、これまでの取り組みを一層進化させるものです」。

Santenは、眼科に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、より多くの治療選択肢を医療現場に提供することで、日本の緑内障患者さんのQuality of Life(生活の質:QOL)向上に寄与できることを期待しています。

なお、本剤は現在、英国およびスウェーデンでは「Rhokiinsa®」、韓国では「Rhopressa®」の名称で販売されています*

緑内障について
緑内障は、世界の失明原因の主な原因となっており、2013年の推定患者数は6,430万人で、2040年には1億1180万人に増加すると予測されています3。40歳以上の日本人における緑内障の有病率は5.0%(原発開放隅角緑内障3.9%、原発閉塞隅角緑内障0.6%、続発緑内障0.5%)、高眼圧症は0.8%でした4, 5。緑内障の有病率は、年齢とともに高くなることが知られており、日本の高齢化に伴って患者の数はさらに増加することが予想されるため、早期発見・早期治療がますます重要と考えられています。

<参考文献>

  1. Matoba R, et al. Jpn J Ophthalmol. 2023;67(3):346–352.
  2. 緑内障診療ガイドライン(第5版). 日本眼科学会雑誌. 2022;126:85-177.
  3. Tham YC, et al. Ophthalmology. 2014;121:2081-90.
  4. Iwase A, et al; Ophthalmology. 2004;111:1641-8.
  5. Yamamoto T, et al; Ophthalmology. 2005;112:1661-9.

* Santenが事業を展開している地域(米州除く)。 Rhokiinsa®およびRhopressa®は、Alcon.Incの登録商標です。

Santenについて
Santenは、眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、世界中の患者さんや生活者、医療関係者の皆さまへの価値ある製品やサービスの提供を通じ、人々の「Happiness with Vision」の実現に貢献することを目指しています。創業以来、「天機に参与する」という基本理念の下、130年以上にわたり人々の目の健康維持・増進を追求してきました。現在、眼科領域における医薬品の研究開発、製造、販売・マーケティング活動をグローバルに展開し、世界60以上の国・地域で約5,000万人の人々の目の健康をサポートしています。私たちのミッションは、眼科領域における専門性と患者さん視点から創出される製品やサービスを通じて、目の病気の予防や診断、治療において今まで提供されていない重要な価値を患者さんや社会に提供し続けることです。一人でも多くの患者さんが幸せで豊かな人生を過ごすことができる未来を創り出すため、世界中の人々が「見る」を通じた幸せを実感できる社会の実現に向けて全力を尽くしています。
詳細については、当社ホームページhttps://www.santen.com/jaをご参照ください。

-本件に関するお問い合わせ先-
参天製薬株式会社 コーポレート コミュニケーション
Email: communication@santen.com