Santenは、働く一人ひとりが心身ともに健康で幸福な状態で活躍できるよう、2018年11月に「Santen健康宣言」を表明しました。日本では働く環境の改善(働き方改革)に加え、心(メンタルヘルス対策)と体(目の健康と生活習慣改善)の4つの健康支援策を実施し、従業員の心身の健康の保持増進に積極的に取り組んでいます。

その中でもSanten独自のユニークな取り組みと言えるのが、日本国内の全従業員を対象にした「眼科検診」です。
眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、従業員の目の健康に対する支援と、検査を通して患者さんや目の疾患に対する理解を深め、自社の製品やサービスに反映して社会に貢献することを目指し、始まった取り組みです。

9項目にわたる、Santenの詳細な「眼科検診」

Santenの「眼科検診」は国内の従業員を対象に3~4年に1度、行われています。自主参加型の検診でありながらも、過去2回(2015年、2018年)の実施では、それぞれ約7割の従業員が受診しました。コロナ禍を経て4年ぶりの実施となる2022年度も、すでに多くの従業員が参加しています。
一般的な健康診断で行われる主な目の検査は「視力検査」ですが、Santenの眼科検診は9項目にわたって、目に関する詳細な検査を行います。その中でも特に特長的なのが「精密眼圧検査(non-contact)」「眼底三次元画像解析検査(OCT)」「視野検査(ハンフリー)」の3つです。

・精密眼圧検査
:測定時に検査機器から空気が軽く噴射される非接触型の眼圧計を使い、眼球の圧力(目の硬さ)を測定します。多くの国や地域で失明原因の上位となっている「緑内障」は、眼圧が高くなることなどで視神経に障害が起き、視野が狭くなる病気です。眼圧検査を定期的に受診することは、緑内障や高眼圧症の早期発見に役立ちます。
・眼底三次元画像解析検査(OCT):目の断層撮影ができる装置を使い、網膜の断面を撮影し、網膜や視神経の状態を確認する検査です。簡単な撮影ではありますが、多くの情報を得ることが出来るため、緑内障や、加齢に伴う黄斑変性症などの早期発見や正確な診断に役立ちます。
・視野検査:網膜の光の感度を測定し、視野の範囲や欠損部がないかなどを調べます。両目で5分ほどの検査では、片手でブザーを持ち、視野の中に現れる光源を認識したらブザーを押すことを繰り返します。緑内障だけでなく、視神経や頭蓋内の疾患、心因性の視覚障害、網膜疾患などの診断につながります。

 

非接触型の眼圧計を使った眼圧検査の様子

ハンフリー視野検査の様子

前視野緑内障で要経過観察の患者さんの左眼を撮影した例(画像提供:たき眼科)

早期発見の重要性

Santenの眼科検診に協力している医療機関のひとつ、「たき眼科」(兵庫県西宮市)の滝 純・院長は次のように話します。「多くの場合、眼科というのは目に何かしらの異常を感じるか、メガネやコンタクトレンズを作るといった機会でない限り、積極的に受診する人は多くありません。緑内障は、自覚症状が乏しいとされています。40代以降が多く罹患するといわれていますが、実際に検査をしてみると20代の方でも、緑内障と診断されるケースがあるのです」
そのうえで、滝院長は次のように付け加えました。「眼圧や眼底、視野の検査は、目の病気の早期発見にとても有益かつ重要です。しかし、従業員向けに実施している機関はそう多くありません。例えば多くの医療専門のスタッフや従業員を抱える大病院であっても、このような検診をおこなっているところは稀です。そんな中でSantenが、独自の眼科検診にこれらを取り入れていることは、目の健康の重要性について深く考えている表れだと感じます」

さらにSantenの眼科検診では、「ドライアイ検査」も行います。ドライアイは、目の不快感などの症状があるだけではなく、放置しておくと角膜などに傷をつけてしまい、大きな目の病気につながる可能性があるからです。
Santenが2011年にオフィスワーカーを対象に行った、ドライアイに関する大規模な疫学研究「Osaka Study」から、ドライアイは日常生活や全身の健康にも影響することが分かっています。例えば、ドライアイによる労働生産性の低下は年間あたり約3日間の欠勤に相当し、メタボリックシンドロームと関連した全身の健康や睡眠の質・幸福度にも影響を及ぼすという調査結果が出ました。ドライアイは、従業員にとっても「生活の質(QOL)」という観点で、単なる目の不快症状として軽視できないものなのです。

検査を通じて「見えて」くる「目の健康」

Santenは、目に関する病気の早期発見・治療により、QOLの低下や失明する人をなくしたいという思いのもと、日ごろから、各種眼疾患の啓発に取り組み、早期発見に向けた眼科検査を呼び掛けてきました。「眼科検診を受けて改めて、自分も『一人の患者』であるということを再認識する事ができました」と話すのは、日本の眼科事業部の中村 勇紀MR(医療情報担当者)です。
「眼科検診を受けてみると、『目』という小さな器官のために、たくさんの検査やそのための機器がある事に、驚く人が多いのではないかと思います。世の中の情報の約8割は、目を通して得ていると言われています。それだけ大切な『目』の健康について、各種の検査を通して、本気で向き合える良い機会を得ることができました。これまでMRとして診療・治療への支援を中心に取り組んできましたが、その前段階となる疾患啓発・予防という観点からの目の健康についても、より深く考えるようになりました。これまで以上に患者さんの視点に立って、患者さんや医師の皆さんに、Santenとしてどのような新たな付加価値を提供できるかを考えながら、日々の業務に取り組んでいます」

最後に滝院長は、次のように付け加えました。「Santenの眼科検診は、眼科を専門とする企業として、また、従業員の目の健康を支援するための取り組みとして、とても意味のあることです。従業員の健康を大切に考えるなら、より多くの企業が眼科検診を取り入れるべきであると考えます。眼科検診を世の中に広く普及させていくために、Santenが先導役となることを期待しています」

Santenは2023年3月8日、経済産業省と日本健康会議*による「健康経営優良法人 2023(大規模法人部門)」に認定されました。Santenはこれからも、目の健康に関する社内外の取り組みを通して、眼科医療の発展に貢献していきます。

* 経済団体、医療団体、保険者などの民間組織や自治体が連携し、職場、地域で具体的な対応策を実現していくことを目的に組織された活動体。

 

「たき眼科」の滝院長(右)と当社の中村MR(左)

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