Santenは、1994年に欧州市場に参入し、現在EMEA(欧州、中東、アフリカ)においては約50の国や地域で事業を展開しています。海外事業がSantenの全売上や貢献利益の40%を占める規模に成長する中、グローバルな成長をけん引する柱の一つであるEMEA事業について、ご紹介します。

患者さんに寄り添い、継続的にアンメットニーズに対応

Santen EMEAの製品ポートフォリオは、主に緑内障とドライアイの領域です。特に緑内障領域では、標準治療である点眼剤から、症状が進んだ後期の手術治療に用いるデバイスなど、エンド・ツー・エンドの包括的なソリューションを提供しています。

「当社の市場調査によると、EMEAでは現在、緑内障患者さんの5人に1人が、Santenの製品を使っていると推定されます」と、EMEA事業を統括するマリアンティ・プサハは説明します。

一方で、成熟市場といわれる緑内障領域においても、依然として多くのアンメットニーズがあります。

Santenは患者さんに寄り添うというコミットメントに基づき、アンメットニーズに対応する製品ポートフォリオの拡大を模索しています。その中でも特筆すべきは、2023年12月の緑内障治療点眼剤の上市です。EMEA地域での緑内障治療管理において、25年ぶりの革新を意味します。「治療が確立された分野であっても、患者さんにより最適なソリューションを提供したいというSantenのコミットメントを表した一例でしょう」とプサハは言います。

多様性によって付加価値を生み、「患者さんにとって最善」な行動をとる

EMEAでは、各国・各地域で固有の医療保険制度や法規制、眼科治療慣習があり、患者さんにとって最適なことも異なるため、市場ごとの多様な特性にきめ細かく対応することが求められます。そのような市場においてSantenは、数ある製薬会社の中でも後発企業でしたが、過去10年間で飛躍的な成長を遂げてきました。その背景についてプサハは、2つの要因を挙げます。

「一つ目は、Santen EMEAが市場環境や組織の多様性を強みに変え、課題に直面するたびに、部門・地域横断で連携を強化し、チームとして解決策を見出してきたことです。EMEAでは、国や地域によって文化、言語、人種が異なります。各地の多彩なリーダーシップを最大限活用するため、Santen EMEAはpatient centricity(患者さん視点のアプローチ)、透明性、説明責任、業績へのコミットメント、コラボレーションという原則を基盤として、チーム全体が持つ多様性を最大限に引き出すことに力を注いでいます。」

「その際、意思決定の指針となるのが、『患者さんにとって何が最善か?』という原則です。これまで、各国・地域に合わせた革新的なアプローチを通じ、EMEAの眼科コミュニティにおけるSantenの存在感を高めていくことができたのは、この原則に従い、活動してきたからです」

また、Santenが育んできた組織風土と一人ひとりの「人間力」も、コマーシャル・エクセレンスを推進する強みとなり、EMEA事業の成長を支えていると言います。

「130年の歴史を持つSantenには、謙虚さと互いへの尊敬を忘れずに協力しあうという、日本的な文化が根付いています。また、患者さんを中心に考え、行動するという価値観も浸透しています。それらが、EMEAの眼科学会や患者団体など社外のステークホルダーから、人材の質の高さを評価される一因にもなっており、いつも誇らしく感じています」

「全ての行動が変化をもたらす」組織作りを目指して

プサハは2021年10月にSanten EMEAに入社し、2023年7月にEMEA事業部長に就任しました。

「全ての行動は、変化をもたらすために」を人生のモットーとするプサハは、生活の質(QOL)や社会への影響に直結する目の健康の重要性と、それを支えるソリューションの提供によって患者さんの生活に影響を与えられるという理由で、眼科領域に惹かれたと言います。

「変化をもたらすこと」は、簡単ではありません。EMEA地域の現在の環境についてプサハは、次のように話します。

「欧州で医療費が増加するなか、命に関わる疾患に比べると、眼科疾患に対する注目度は高くないのが現状です。しかし、QOLや社会的・経済的な観点で、視力を失うことによる真の代償を、みんなが理解するべきです。Santen EMEAは、目の健康の重要性を認識してもらう取り組みとともに、全ての人が必要な医療ソリューションへアクセスできるよう、学会や患者団体などと協力して政策への働きかけにも取り組んでいます」

「Santen EMEAは、人々と社会にとって、眼科領域において信頼できるパートナーとなることを目指しています。その目標を達成するためにSantenは、眼科領域における患者のニーズの進化に対応する製品開発への投資を継続しています。その目的は、patient journey(患者の旅路)全体にわたって疾患をカバーし、常に一歩先を行くソリューションを提供することで、教育とサポートを通じて緑内障の治療全体を改善することです」

患者さん中心の活動を追求し続けることが、堅実な業績を上げるための前提条件だとプサハは考えます。

「患者さん、業界、社会に『変化をもたらす』ための組織運営に集中しています。患者さんに提供できるものが多ければ、その分多くの変化をもたらすことになり、それらは自ずと業績にも反映されていくでしょう」

2024年9月 EMEA CFU(Customer Facing Unit:顧客対応部門)カンファレンスにて(イタリア)

選ばれるパートナーになるために

最後にプサハは、次のように意気込みを語ります。

「Santen EMEAの次のステップは、眼科医療分野における全てのステークホルダーから信頼されるパートナーになることです。私たちの仕事は、患者さんが最高の治療を受けられるようなソリューションを提供することです。そのためには、製品開発から商業化に至るあらゆる段階で、患者さんの声が反映されるようにする必要があります。さらに、Santenが持つソリューションが、いかに地域全体の持続可能な医療向上に貢献できるかを、より多くの人々に理解してもらわなければなりません」

「エコシステムの中で誰からも選ばれるパートナーになるという私たちのゴールのもと、『患者さんを中心に』考え、走り続けます。そうすることで、眼科医療全体において患者さんの生活に影響を与えることができると信じています」

  • 患者さんが医療サービスを受ける際の一連の体験やプロセス。具体的には、症状の発現から診断、治療、フォローアップに至るまでの全てのステップを含む
 

2021年10月Santenに細胞・遺伝子治療統括として入社し2023年7月、EMEA事業統括に就任。
Santen入社以前は、ノバルティスの眼科遺伝子治療部門グローバル責任者として、世界初の眼科遺伝子治療の立ち上げを主導。
遺伝子治療、希少疾患、プライマリーケア、専門医療における25年以上の多様な経験を生かし、画期的な治療を通じてアンメット・メディカル・ニーズへの対応に大きく貢献。2022年にメディシン・メーカーの「パワーリスト」に選出される。
英国ワーウィック・ビジネス・スクールでMBA、グラスゴー・カレドニアン大学でリーダーシップ能力の大学院学位、カナダのマギル大学で経済学と経営学の学士号を取得。

Europe, Middle East and Africa(EMEA)事業統括

マリアンティ・プサハ

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