Santenのサステナビリティ

Santenは、「天機に参与する」という基本理念のもと、社会の持続的な発展に貢献するとともに、持続的な成長を目指します。

サステナビリティ方針

Santenは「天機に参与する」という基本理念のもと、社会の持続的な発展に貢献するとともに、中長期的な企業価値向上を目指します。

サステナビリティ推進体制

当社では、CEOを委員長とし関連部門の執行幹部で構成されるサステナビリティ委員会を設置し、2回/年以上開催しています。
委員会では、基本理念やサステナビリティ方針、グループの戦略、人権、労働、環境、腐敗防止を含む社会課題などを踏まえ、サステナビリティ推進活動に関するグループ全体の方針・目標を審議し、決定しています。
また、サステナビリティに関する具体的な取り組みを推進するとともに、重要事項の審議を行っています。
決定事項などは、各部門の執行幹部を通じて周知徹底を行います。なお、グループ経営戦略に関わる項目は、経営会議に提案し承認を得ることとし、重要な案件については、取締役会へ上程します。
サステナビリティの最高責任者が任命され、全社のサステナビリティ活動を統括しています。

Santenのマテリアリティ

当社は、経営の重要課題(マテリアリティ)を特定し、取り組みを進めています。

大分類マテリアリティ定義

社会的意義(Happiness with Vision)のある製品・サービスの開発・安定的供給

 

社会的意義のある製品の市場浸透眼科領域における製品・サービスイノベーションによる未充足ニーズへの対応とコマーシャル・エクセレンス(※)追求による患者さんへの貢献
サプライチェーンの評価・管理サステナブル調達の実施による社会の持続的発展への貢献と製品供給上のリスク低減
品質・安全性の確保と適切な供給体制の確立製品の品質と安全性を確保し、必要な時に必要な量を供給できる体制の確立
製品・サービスに関する適切な情報提供法規制を遵守した倫理的マーケティング活動と価値ある情報・サービスの提供

価値創造を促進する組織風土の醸成

  

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進多様な人材の相互尊重による価値創造の促進
高付加価値で生産性の高い職場環境の構築従業員の心身の健康と安全な職場環境確保に加え、新しい働き方の推進による生産性・付加価値創出力の向上
人材の育成・登用中長期的な観点に基づき、適時・適所に最適人材を確保・育成・登用

ガバナンス強化・公正公平な社会実現への貢献

 

コーポレート・ガバナンス取締役会の実効性とサクセッションプランの強化による持続可能なガバナンス体制の確立
コンプライアンス法令遵守にとどまらない高い倫理感に基づく企業活動の実践
リスクマネジメント予測不可能な不確実性を含む様々なリスクに的確に対処するための体制の構築
人権の尊重人権課題の理解とバリューチェーン全体での人権の尊重

地球環境保全

 

気候変動対策気候変動の緩和策と事業存続のための適応策の遂行
環境負荷低減事業活動ならびに製品の及ぼす環境負荷の低減
  • コマーシャル・エクセレンス:Santenにおけるコマーシャル・エクセレンスとは、患者さんにとって最適な眼疾患治療およびアイケアを実現したいという我々の志が起点となっています。研究開発から患者さんに製品が届くまで、標準化された型を用いた質の高い戦略の策定・KPIおよびPDCAサイクルの徹底管理を、全社で一貫して行うことで、持続的に組織能力を高め、患者さんに提供する製品価値を最大化することです。

マテリアリティ特定のプロセス

ステップ1:社会課題の抽出

国連グローバル・コンパクトの10原則やSDGsなどの国際的なガイドライン、サステナビリティ評価機関からの調査項目などを踏まえて、2019年12月に社会課題を広範にリストアップしました。

ステップ2:社会課題の優先順位付け

社会にとっての重要度と当社にとっての重要度の2軸で総合的に評価し、優先順位の高い項目に絞り込みました。

ステップ3:長期ビジョン「Santen 2030」の3つの戦略をマテリアリティに融合

2030年とその先を見据え、人々の目の健康に関する社会的な課題の解決に取り組むための長期戦略である「Ophthalmology」(眼科医療への貢献)「Wellness」(健康な目の追求)「Inclusion」(共生社会の実現)と上記ESG軸での課題(社会課題)との関連性を検証しました。

ステップ4:妥当性の確認

特定プロセスおよび抽出したESGのマテリアリティについて、マネジメント層を含めた社内での議論に加え、有識者や投資家など社外のステークホルターとダイアログを実施し、その妥当性を確認しました。この段階でいただいたご意見をベースに、一般的な2軸の表ではなく、三角柱で多面的に戦略課題とESG課題を捉える形にまとめました。

ステップ5:マテリアリティの特定

取締役との議論を経て、3つの戦略(STRATEGY)と4つのESGマテリアリティをSantenのマテリアリティとして特定し、2020年に開示しました。取り組みの進捗や社会環境の変化等を踏まえて、定期的に見直しをすることを前提としています。

ステップ6:目標の設定

2021年5月には中期経営計画(MTP2025)策定に伴い、ESGマテリアリティの主要項目についても目標の設定を行い、取締役会で審議のうえ、開示しました。また、2022年7月に、より詳細な定量目標を設定しています。

ステップ7:マテリアリティの再整理

2023年3月、マテリアリティ13項目について見直しました。社外有識者とのディスカッションやESG評価機関による評価項目を参考に、社内のリスク部門や戦略部門とも議論を重ね、自社にとっての重要度(※)、社会にとっての重要度についてそれぞれ評価して再整理を行い、取締役会で現段階での最重要2項目を特定しました。

  • 重要度については、リスク・機会とも大(30億円以上)、中(10億円以上30億円未満)、小(10億円未満)の利益に対する影響を想定

最重要マテリアリティの戦略

2023年4月に見直した新中期経営計画を前提に、現在当社が直面している課題を評価した結果、中長期的な利益に対して最もインパクトを与える可能性がある最重要の課題として、「社会的意義のある製品の市場浸透」と「人材の育成・登用」を特定しました。

社会的意義のある製品の市場浸透

眼科領域における製品・サービスのイノベーションによる未充足ニーズへの対応とコマーシャル・エクセレンス追求による患者さんへの貢献は、成長戦略の要であり、当社の存在意義そのものです。新中期経営計画に基づき、価値ある製品の市場浸透を図っていきます。

リスク

  • 以下の取り組みについて、自社が後手に回り競合他社が先行した場合、当該市場での競争力低下によりシェアが獲得できなければ利益損失規模は大きい
    • 疾患の早期発見や診断、治療継続が十分にできていないことによる患者さんへのアプロ―チ
    • 中長期的には途上国など保健医療体制の未整備などが原因で医療にアクセスできていない患者さんに対する市場浸透活動
  • 中国などで自社主力品が集中購買の製品から外れるなど国の政策による市場環境の激変も影響大

機会

  • 短期的には、既存市場でのコマーシャル・エクセレンスの活動を強化し、診療プロセスへの価値ある情報提供、さらなる製品浸透と治療
  • 中期的には、コマーシャル・エクセレンスの継続的追求に加え、近視や眼瞼下垂などの未充足な疾患領域への製品提供
  • 長期的には、さらなる地理的展開および新たな製品等の開発・提供を図り、より多くの患者さんに貢献

対応策

  • 既存市場では、緑内障やドライアイなどの慢性疾患の治療継続率の改善に取り組む
  • アンメットニーズを解消する新製品の上市、近視や眼瞼下垂など従来取り扱っていなかった疾患についても自由診療領域への展開や販路拡大を目指す
  • 未治療患者さんが多い疾患・地域では、受診から治療継続のボトルネック解消により、より多くの患者さんにアクセス

外部へのインパクト

目の疾患や不具合に起因する世界中の人々の社会的・経済的な機会損失を削減し、年間4,107億ドル(※1)と言われる視力障がいによる経済損失を少しでも削減させる

  • 短期的には、既存市場でより多くの患者さんの治療に貢献
  • 中長期的には、近視や眼瞼下垂など未充足な疾患領域やこれまで提供できていなかった国や地域の患者さんの治療にも貢献

2025年度KPI(評価指標)

  • 貢献患者数(※2):延べ5,000万人以上

人材の育成・登用

基本理念や戦略を理解し、世界中の人々の「見る」を通じた幸せな人生の実現を目指す人材こそが当社の最も大切な資産であり、そうした人材の育成・登用が肝要です。
生活者・患者さん中心に考え、永続的な企業成長に貢献できる社員をグローバルで育成し、多様性を踏まえながら適時・適所に最適人材を登用できるよう、計画的な育成と登用を進めていきます。

リスク

  • 即戦力の外部からの登用だけでなく、社内での育成・リスキリング・登用が戦略的・計画的になされなければ、社員のモチベーションや会社の成長への大きな障害となる
  • 人材の戦略的なポートフォリオが必須。適時・適所に最適人材を登用できないことによる事業の失敗は多額の損失につながる恐れがある
  • 退職者の増加などによる人的な損失が起これば組織機能不全につながる可能性がある

機会

  • 戦略的・体系的な育成体制が整えられれば、エンゲージメントの向上や人材の惹きつけにつながり、大きな利益貢献になるとともに外部からの人材調達コストの低減にも貢献
  • 業務生産性が向上することで収益にプラスの影響

対応策

  • Santenの基本理念やビジョン、強みを深く理解し、戦略をグローバルに実行する人材の育成
  • 戦略の立案や実行、変革に向け、重要ポジションを担うマネジメント層を対象にリーダーシップ能力を向上させる人材マネジメント教育を実施
  • 重要ポジション(※3)の後継者の明確化と、計画的確保・育成・配置の具体的な実践
  • 多様性の活用においては、特に日本国内の女性の管理職登用に向けた推進

外部へのインパクト

人材流動による社会への貢献

  • 人材育成により、高い能力を身に付けた人材の流動性が高まれば、社会にプラスの影響

2025年度KPI(評価指標)

  • 2023年度に人材育成プログラムの再構築を完了し、2025年度 までに全社員が教育プログラムを受講完了
  • 重要ポジションを担うマネジメント層に対し、2025年度までにアセスメントとコーチングを実施
  • 2023年度に重要ポジションの後継者の明確化完了、2025年度までに計画的確保・育成・配置の具体的実践
  • 2025年度までに日本国内の女性管理職比率20%以上
  1. 出典:The Lancet Global Health Commission on Global Eye Health: vision beyond 2020
  2. JMDCでの当社医療用医薬品における製品ごとの延べ推計患者数および当社出荷データをもとに、炎症・アレルギー、角膜、緑内障、白内障の疾患領域で推算した2019年度延べ貢献患者数は約4,300万人、目標値については、新中期経営計画策定時に修正
  3. 重要ポジション:経営戦略の立案と実行においてキーとなるポジション、各機能や地域における主要な役割

指標と目標

それぞれのマテリアリティについて、新中期経営計画の最終年度である2025年度を見据えたKPIを設定し、進捗を開示しています。

大分類マテリアリティ2025年度KPI(評価指標)2022年度の進捗関連ページ
社会的意義(Happiness with Vision)のある製品・サービスの開発・安定的供給社会的意義のある製品の市場浸透
  • 患者貢献数:延べ5,000万人以上
  • 2021年度の貢献患者数:約5,000万人
眼科医療への貢献
サプライチェーンの評価・管理
  • サプライヤー評価率:85%以上
  • サプライヤートレーニング実施率:80%以上
  • 購買部門のESG教育受講率:100%
  • サプライヤー評価率:93.5%
  • サプライヤートレーニング実施率:87.1%
  • 購買部門のESG教育受講率:100%
サプライチェーン
品質・安全性の確保と適切な供給体制の確立
  • 生産供給能力:5億本以上
  • OTIF(on-time and in-full)発送(※2):日本100%、EMEA97%、アジア97%、米国97%
  • 生産供給実績:4.2 億本
  • OTIF発送:日本100%、EMEA98%、アジア96%、米国98%
品質・安全性
製品・サービスに関する適切な情報提供
  • 医薬情報担当者(MR)の教育の徹底:受講率100%
  • MR教育受講率:100%
倫理的マーケティング 
価値創造を促進する組織風土の醸成ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進
  • シニアマネジメントの多様性の推進
  • 女性管理職比率(日本):20%以上
  • 女性管理職比率(日本):17%
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
  • 全従業員がブラインドエクスペリエンスの実施などを中心に理念浸透できていること
  • ブラインドエクスペリエンスアドバンスド受講率:91%
社員とともに
高付加価値で生産性の高い職場環境の構築
  • グローバルで毎年定期的にエンゲージメントサーベイを実施
  • 「コミュニケーション」のスコア改善
  • グローバルで従業員エンゲージメント調査を実施
従業員の成長と組織風土
人材の育成・登用
  • 2023年度に人材育成プログラムの再構築を完了し、2025年度 までに全社員が教育プログラムを受講完了
  • 重要ポジションを担うマネジメント層に対し、2025年度までにアセスメントとコーチングを実施
  • 2023年度に重要ポジションの後継者の明確化完了、2025年度までに計画的確保・育成・配置の具体的実践
従業員の成長と組織風土
ガバナンス強化・公正公平な社会実現への貢献コーポレート・ガバナンス
  • 社外取締役比率:50%超を維持
  • 社外取締役比率:71%

コーポレート・ガバナンス 

コンプライアンス
  • 年次コンプライアンス教育受講率:95%以上を継続
  • 重大なコンプライアンス違反件数:0件
  • 年次コンプライアンス教育受講率:96%
  • 重大なコンプライアンス違反件数:0件
コンプライアンス 
リスクマネジメント
  • グループリスクマネジメント体制整備、関連規程類の整備・浸透、リスク関連部門と内部統制ディフェンスライン関連部門との連携強化
  • 事業継続性:災害復旧計画(IT領域)の完成
  • 主な情報セキュリティ関連事象について明確なSLA/OLA(※3)で解決&コントロールされていること(90%以上)
  • 平時における各リージョン・ファンクションからの定期的な情報収集に向け、リージョン向けのリスクアセスメントを実施
  • 災害復旧のフレームと計画の草案を作成
  • 情報セキュリティ関連事象について明確なSLA/OLA(※2)で解決&コントロールされている割合:100%
リスクマネジメント
人権の尊重
  • 社内人権教育の実施率
  • 人権教育実施率:98%(日本)
人権 
地球環境保全気候変動対策
  • 社用車の電動化自動車(HEV,PHEV,EV,FCV)への切り替え:100%
  • 通勤・出張における鉄道など環境負荷の低い移動手段の積極利用、リモートワーク・会議の促進
  • CO2排出量削減(2019年度比)
    スコープ1・2:25%削減
    スコープ3 カテゴリ1(単体):8%削減
  • 日本の電動化自動車(HEV,PHEV,EV,FCV)導入率:97.0%
  • 日本の工場・研究所購入電力の再生可能エネルギー化完了(2022年2月)
  • CO2排出量
    スコープ1・2:34.9%削減(22,619トン-CO2
    スコープ3 カテゴリ1:6.9%削減(106,743トン-CO2
気候変動対策
環境負荷低減
  • 取水量生産原単位:12.4m3/万本以下
  • リサイクル率:98%以上
  • 点眼容器プラスチック:2030年度バイオマスプラスチック60%使用
  • 包装材・梱包材:プラスチックを2019年度比10%削減
  • 取水量生産原単位:14.7m3/万本
  • 廃棄物リサイクル率:98.5%
  • 点眼容器のバイオマスプラスチック化:12品目の点眼容器にてバイオマスプラスチックへの置き換えが完了
  • 包装材・梱包材のプラスチック材料の代替手段調査検討中
環境負荷低減
  1. OTIF(on-time and in-full)発送:サプライチェーン内のロジスティクスまたは配送パフォーマンスのKPIで、時間どおりの完全な配送のこと
  2. SLA/OLA:SLAはサービスを提供する人とサービスを受ける人の間で取り交わす約束。OLAはサービスを提供する人の身内間で取り交わす約束のこと