Santenに入社してからは、新しい仕事にチャレンジする機会を次々と与えてもらい、困難に遭遇しては必要な知識やスキルを身に付けて乗り越えてきました。部下や同僚にも助けられ、多くの上司からさまざまなことを教わりながら成長できたことに、とても感謝しています。
もちろん、成長には苦痛も伴います。たとえば、蘇州工場の工場長に任命されたときには、私は薬事や政府関連の業務には精通していたものの、品質管理やサプライチェーン、工場管理に関する知識や経験は不足していたため、働きながら大学院に通い、MBAの学位を取りました。熱意を頼りに部下と一緒に頑張っていましたが、あるとき上長から「あなたは戦略視点が低い」という指摘を受けたのです。精一杯やっていただけに、ショックでした。
悔しくてなかなか受け入れられませんでしたが、その気持ちをばねに、業界の潮流や最新事例について調べ、ビジネス書で戦略について学ぶなど、猛勉強しました。そうするうちに、上司の言葉が正しかったことを理解しました。当時の自分は短期的な目標ばかりに目がいき、製造業の動向や、会社全体における蘇州工場の位置づけ、中長期の事業環境の変化を見据えた工場の将来像までは考えていなかったのです。
知識があれば、広い視野から俯瞰的にものごとを理解することができます。一方、知識不足は視野を狭め、進歩の妨げとなります。そのことに気付いてからは、工場長として働きながら学び続け、サプライチェーンプロフェッショナルの資格を取得しました。いまになってみれば、当時の上司からとても大切なことを教わったと思います。