Santenは、事業分野である眼科領域における医療アクセス向上に取り組み、より多くの人々に対して眼科治療へのアクセスを改善することで、未治療の患者数の削減へ貢献していきます。
当社の経営の重要課題(マテリアリティ)は3つの戦略と4つのESGマテリアリティで構成されています。「Ophthalmology」(眼科医療への貢献)「Wellness」(健康な目の追求)「Inclusion」(共生社会の実現)の3つの戦略の一つ、「Ophthalmology」では、眼科医療のイノベーションおよび眼科医療エコシステム(※1)の発展を加速していきます。「Wellness」では、より良い眼の状態に向けた重要性認識向上とアイケアを推進していきます。
これらの取り組みを通して、社会的意義のある製品を開発し、より多くの人に眼科治療へのアクセスを改善することで、世界の未治療の患者数削減へ貢献していきます。2025年までに6,000万人(※2)以上の患者さんに貢献することを目指しています。2020年度は、約4,800万人の患者さんの治療に貢献しました。
世界の多くの新興国においては、眼科医やその他眼科に従事するスタッフが足りていないことが原因で患者さんの治療が十分に行えていない、もしくは診断そのものがついていないなど十分な医療提供が行われていないと認識しています。医師だけでなく、検査を担当する技師も不足しているため、眼科医自身が基礎的な検査まで行っており、全体として生産性が低くなっています。眼科医が白内障の手術や緑内障の治療のスキルを高め、患者さんの治療により多くの時間を費やせるよう、当社は外部パートナーとともに眼科医に対するトレーニングの仕組みや医療情報を提供しています。さらに医師をサポートする検査スタッフに対する教育にも力を入れることで、医療アクセスの向上を図っています。
当社は、経済的な理由で医療アクセスが困難であり、一定の配慮が必要な国や地域が存在すると考えています。そのため、医療アクセスの問題が解決されるまでは、国連が定める後発開発途上国(※1)や世界銀行が定める低所得国(※2)では、原則として新たな特許出願を行わず、既に出願または取得済みの自社単独名義の特許の権利行使は医薬品アクセスを阻害しない必要最小限の範囲にとどめます。
希少疾患に対する治療薬は、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないため研究開発が進んでいないことがあります。Santenでは、眼科領域の希少疾患においても、医療アクセス向上に取り組んでいます。
春季カタルは、小児および若年成人に多く見られる再発性の重症アレルギー性疾患で、角結膜を含む眼表面に重度の炎症が見られる特徴があり、強い目のかゆみや痛み、羞明等を伴い、日常生活に支障を来すこともあります。適切な治療を行わない場合、重症化すると、角膜潰瘍や視力障害を引き起こすことがあると言われています。
Santenは、春季カタルの治療薬として、カチオニックナノ乳化という独自の技術により眼球での滞留時間を長くし、角膜への吸収性を改善したシクロスポリン製剤であるVerkaziaの開発・販売を進めています。
2022年6月現在、米州、アジア、中国など10か国以上で承認を取得しています。春季カタルにより活動が制限されている世界中の子どもたちが日常生活を取り戻すことができるよう、製品供給に取り組んでいます。
網膜色素変性症は、遺伝子変異が原因で網膜の視細胞及び色素上皮細胞が広範に変性する疾患です。特徴的な症状は、夜盲、視野狭窄、視力低下で、総じて10代で発症し、中高年になると失明に至るケースも多いとされています。世界では約190万人(※1)、日本では人口10万人に対し18.7人の患者さんがいると推定されています(※2)。移動や学習など、視覚を要する動作が困難となるなど、日常生活に支障を来す疾患である一方で、根本療法や、その進行を抑制できる治療薬がなく、アンメットメディカルニーズが高い疾患です。
当社は、網膜色素変性症におけるファースト・イン・クラスの治療として開発が進んでいるjCellの開発・販売権について、米国jCyte社と独占的ライセンス契約を締結し、細胞治療事業の確立に向けた取り組みを進めています。